第2回 日本薬学教育学会大会 The 2nd Annual Meeting of the Japan Society for Pharmaceutical Education

大会長挨拶

第2回日本薬学教育学会大会開催にあたって

 

 昨年2016年8月に「日本薬学教育学会」が設立され、第1回大会が京都薬科大学で開催されました。いよいよ薬学分野でも教育を主題とする学会の設立により本格的な薬学教育の充実に向けた活動が始まりました。

 2012年3月に薬学6年制課程を修了した第1期生が卒業してから5年が経ち、矢継ぎ早に進められてきた新しい薬学教育もここでさらなる進展に向けてその評価と改善が強く求められてきています。薬学に求められる社会のニーズは、薬剤師に求められる社会のニーズの激しい変化に呼応してますます多様になり、高度になっており、社会に真に貢献する薬学への大きな期待を感じます。長い歴史と実績のある有機化学や生化学、薬理学などの基礎薬学の領域と、6年制課程薬剤師教育の開始により重要度を増してきた臨床薬学の領域が融合することで、新しい時代の薬学を創出し、これから社会における重要性、有益性をますます高めていく必要があります。その新しい薬学を支える人材育成に「オール薬学」で全力を注ぐためにも、「日本薬学教育学会」は、ますますその存在意義を増していくと考えております。

 第2回となる今大会は、愛知県内の4大学(名古屋市立大学、名城大学、愛知学院大学、金城学院大学)の薬学部(薬学研究科)が協力して開催する運びとなりました。第1回大会で、サイエンスとしての薬学教育学の確立に向け、薬学教育を原点から見つめ、今後、何をなすべきなのかについて討論する場を提供しましたが、今大会のテーマは、『教育のアウトカムを測る-大学教育から生涯研鑽へー』とし、新しい薬学教育がきちんと成果を出してきているのか、それを科学的に測り評価することから、今後の薬学教育の方向を少しでも冷静に客観的に論議しようという提案です。

 2013年度に改訂された薬学教育モデル・コアカリキュラムでは「学習成果基盤型教育(outcome-based education)」が掲げられ、提示されたアウトカム(成果)にどれだけ到達したかが重要な指標となる中、それは大学教育のみならず薬剤師の生涯研鑽全般でも必要な指標として進めていくことが不可欠です。大学教員をはじめ、薬剤師、学生(学部、大学院)、病院・薬局・企業の教育研修担当者など、広く薬学の教育に携わる関係者が一堂に会し、今後の薬学教育のアウトカムについて充分に論議されることを期待します。

 本大会が、輝ける薬学の未来に向けて、薬学教育の新たな展開の第一歩となりますよう、多数の皆様方のご支援とご協力をお願い申し上げます。

 

 

 

第2回日本薬学教育学会大会 2017名古屋
大会長 林 秀敏