第5回 日本薬学教育学会大会 The 5th Annual Meeting of the Japan Society for Pharmaceutical Education

大会長挨拶

第5回日本薬学教育学会大会開催にあたって

 

 我が国では、医療の高度化や超高齢社会を見据え、2006年から参加型実務実習を組込み薬剤師教育に重点を置いた6年制薬学教育が開始されました。この6年制薬学教育実施に際しては実務実習前の薬学共用試験や教育プログラム評価に向けた体制作り等が行われ、薬学共用試験、薬学教育の第三者評価が実践されてきました。6年制薬学教育開始当初のモデル・コアカリキュラムは2013年に改訂され、2015年からは改訂モデル・コアカリキュラムの基に学習成果基盤型教育が行われています。薬学教育の更なる充実と発展を目指し、薬学教育に関する研究の推進が求められ、研究成果の発信とその教育現場における実践・検証も含めた情報共有の場を提供することを目的として、2016年に日本薬学教育学会が設立されました。そして2016年8月に「薬学教育の原点」をテーマに第1回大会が京都薬科大学で開催され、2017年の第2回大会は「教育のアウトカムを測る」をテーマに名古屋市立大学で、2018年の第3回大会は「教育で“未来”を創る」をテーマに昭和大学で、2019年の第4回大会は「そして今、新しい時代の“薬学教育”がはじまる」をテーマに大阪大学で、それぞれ開催されました。いずれの学術大会も、薬学教育に携わる大学教員や病院、薬局の薬剤師、薬学部生、大学院学生など多くの方々にご参加頂きました。

 さて、第5回日本薬学教育学会大会は、2020年(令和2年)9月に帝京大学板橋キャンパスでの開催を目指して準備してきましたが、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響により多くの学会が中止、延期、Web開催への切替えがなされている現状を鑑み、現地開催は行わずWeb形式での開催を目指すことにしました。この度のCOVID-19の拡大をきっかけとして、薬学教育や薬剤師の生涯教育においてもWeb上での情報発信、情報共有やICT教育の重要性が高まっています。本大会が、参加者の皆様にこれからのWebオンライン教育の在り方をお考え頂く良い機会として捉えていただけたら幸いです。

 本学術大会のテーマは「未来を変える薬学教育の力」です。薬剤師に求められる資質を身につけるための体験学習、実務実習、卒業研究を含む多様な薬学教育により、患者に寄り添い医療に貢献する薬剤師、あるいは薬学研究者等を輩出し、未来を変える力になればとの願い、実務実習や多職種連携教育により育まれる医療の絆が新たなチャレンジを実現していくことへの期待を込めたテーマとさせて頂きました。皆様にとって有意義な学術大会となりますよう、皆様のご支援とご協力をお願いするとともに、多数の皆様方のWeb大会へのご参加をお待ちしております。

 

第5回 日本薬学教育学会大会 大会長
帝京大学薬学部長 奥 直人